特集

【Vol.7更新 7/13】6/17の米イラン覚書署名で戦争は終結したはずだった──しかし7/8に戦闘再開、ホルムズ通航はほぼ全面停止へ。原油・LNGは反転上昇、JEPXの「平年並み」は再燃をまだ織り込んでいない。詳細・出典はVol.7本文に掲載

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スポット市場リスクが再顕在化/2030年度にはkWh確保義務も

リスク管理なき電力事業は、もう成り立たない。 ETRMで今日のリスクを制御し、2030年の義務に備える。

2022年のエネルギー危機で83社が休廃止。中東情勢の緊迫化でスポット価格が再び急騰し、リスク管理の必要性が改めて浮き彫りになっています。調達リスクの可視化・ヘッジ戦略の高度化、そして2030年度からのkWh確保義務への対応まで、ETRMが一つの解決策として機能します。まずは現状のヒアリングからご相談ください。

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スポット依存がもたらした現実

2022年のエネルギー危機は、日本の電力小売市場に一つの真実を突きつけました。調達リスクを管理できない事業者は、市場から退出させられる。スポット市場に依存した事業者ほど、その打撃は甚大でした。

83

2022年1月以降に
休止・廃止・解散した新電力

2023年12月末時点

76

%

退出事業者のうち
3年後の調達を1割未満しか
確保していなかった割合

2020年度供給計画ベース

29

%

JEPXスポット市場の
取引量に対する
電力先物取引高の比率

2024年実績

退出事業者 vs 全体:調達先確保率の比較

2020年度供給計画における調達先確保割合(事業者数ベース)

小売電気事業者は毎年、将来の電力調達先をどの程度確保しているかを国に報告しています。この表は2022年の危機直前(2020年度)の報告データを使い、その後に退出した事業者と全体を比較したものです。

赤いバーが長いほど「調達先をほとんど確保していなかった」事業者が多いことを意味します。退出事業者は、3年後の調達を1割未満しか確保していなかった割合が76%と、全体(51%)を大きく上回っています。

10%未満 10〜40% 40〜70% 70%以上
全体(552社)
1年後の調達
42% 10% 6% 42%
退出事業者(56社)
1年後の調達
68% 5% 4% 23%
全体(568社)
3年後の調達
51% 8% 4% 37%
退出事業者(59社)
3年後の調達
76% 5% 0% 19%

出典:資源エネルギー庁「2021年度供給計画」を基に作成

スポット価格はこれだけ動く ── 過去5年間の推移

JEPXスポット市場の月次平均エリアプライス。2022年のエネルギー危機で価格が急騰し、スポット依存の事業者が壊滅的な打撃を受けました。

※ 赤帯の期間に83社が休止・廃止。スポット調達比率が高い事業者ほど損失が拡大しました。

足元の調達リスクをどう乗り切るか、まずは現状を整理しませんか。

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リスク管理の高度化が、
事業継続の必須条件になっている

電力小売事業は本質的にリスクビジネスです。価格変動・需給ミスマッチ・オペレーション上の欠落が重なれば、一瞬で経営が傾く。
スプレッドシートや属人的な管理では、もはや対応できない段階に入っています。

価格変動リスク

スポット市場価格の乱高下は、調達コストを直撃します。2022年の高騰時には、仕入価格が販売価格を上回る逆ザヤが常態化し、多くの事業者が経営危機に陥りました。

経営リスク:高

オペレーションリスク

相対契約・先物・スポットなど複数の調達チャネルを管理するには、リアルタイムなポジション把握が必要です。Excelベースの手作業管理では、判断の遅れや計算ミスが避けられません。

効率性リスク:中

コンプライアンスリスク(新設)

2030年度からは、量的供給力確保義務が加わります。N-3年度前に50%、N-1年度前に70%の供給力確保が求められ、未達時には指導・勧告(事業者名公表)の対象に。リスク管理の枠組みとして、制度対応を組み込む必要があります。

事業継続リスク:高

退出事業者に共通する調達パターン

資源エネルギー庁の分析によると、退出した小売事業者は全体に比べて事前に調達先をあらかじめ確保している割合が著しく低かったことが明らかになっています。 3年後の調達を1割未満しか確保していなかった退出事業者は76%。計画的なリスク管理の欠如が、事業撤退の直接的要因でした。

まず現状のリスク管理を棚卸しし、ETRMで何が変わるかを確認しましょう。

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さらに、2030年度から
kWh確保義務が課される

リスク管理の強化が急務である中、制度面でも新たな義務が加わります。 資源エネルギー庁は、小売電気事業者に対してスポット市場以外からの電力調達を一定割合確保することを義務付ける制度を確定しました。 2022年のエネルギー危機を教訓に、需要家保護と安定供給の両立を目指す制度で、2030年度供給計画からの適用開始が予定されています。

N-3年度前 実需給3年前

50%

需要(販売実績ベース)の50%を
スポット市場以外から確保

発電事業者の燃料調達・電源整備の予見性確保のため、3年前からの準備を要求

N-1年度前 実需給1年前

70%

需要(販売実績ベース)の70%を
スポット市場以外から確保

実需給が近づくにつれ、より高い割合での供給力確保を義務化

対象 全小売電気事業者

一律適用

相対契約・先物取引等
多様な調達手段で対応

小規模事業者(過去3年平均 5億kWh未満)には軽減措置: N-3で2.5割、N-1で5割(運用開始から例えば5年間)

確保手段として想定される調達方法

相対契約

発電事業者との長期電力購入契約(PPA)による安定調達

電力先物取引

TOCOM・EEXでの先物取引による価格ヘッジ(現物確保が基本、先物の扱いは引き続き検討)

中長期市場取引

卸電力取引所の先渡市場を活用した中長期調達

自社電源

自社保有の発電設備による供給力の確保

共同調達(BG)

需要BGによる複数事業者での共同調達・合算評価が可能に

再エネ電源

再エネ電源を含め電源種別は問わないことが明確化(kWhベースで計上)

義務達成に向けて ── まず何をすべきか

調達方法は分かった。では、自社の状況に合わせてどう動けばよいのか。
以下の5ステップで、義務達成への道筋を整理できます。

1

現状の調達構成を棚卸し

自社の電力調達のうち、スポット市場への依存比率を正確に把握します。「何割がスポットか」が分からなければ、不足量も計算できません。

確認すべきこと スポット市場からの調達比率(kWhベース) 既存の相対契約・自社電源の契約期間と残量
2

不足量を算出する

直近の販売実績をベースに義務水準(50%・70%)と現在の非スポット調達量を比較し、あとどれだけ確保が必要かを定量化します。

不足量の考え方 販売実績 × 義務水準(50%/70%) − 現在の非スポット調達量 = 追加確保が必要な量
3

調達手段の優先順位を決める

事業規模やリスク許容度に応じて、最適な調達ミックスを設計します。中小事業者は共同調達(BG)の活用も有効な選択肢です。

大規模事業者 相対契約+先渡市場を軸に、自社電源でベースロード確保
中小規模事業者 BG共同調達で交渉力を確保しつつ、再エネPPAを組み合わせ
4

相対契約の交渉を早期に開始

相対契約は交渉から締結まで数ヶ月〜半年を要します。制度開始直前には、好条件の電源が先に押さえられるリスクもあります。早期の交渉開始が有利な条件確保につながります。

5

ポートフォリオを継続的にモニタリング

契約を締結して終わりではありません。需要変動や契約満了に応じて調達構成を見直し、義務達成率を常時把握する仕組みが必要です。ここでETRMが力を発揮します。

出典:資源エネルギー庁「電力システム改革の検証を踏まえた制度設計WG とりまとめ」(2026年3月)
※適用開始は2030年度供給計画(2030年2月提出)から。義務水準・軽減措置等の詳細は今後の検討で精緻化される予定。

Primary Research · 2025.10

小売電気事業者105社への独自アンケート ── 義務化への本音と対応の現在地

87% 「影響あり」
73% 調達コスト
上昇を懸念
105 有効回答数
調査レポートを読む →

義務未達時の措置 ── 段階的な制度設計

量的供給力確保義務を充足できなかった事業者に対し、履行を促す具体的な措置が議論されてきました。
運用開始当初はB案(指導・勧告)を基本とし、運用状況を見てA案の導入を検討する方針です。

運用開始時

B案:指導・勧告(公表)

運用開始当初の履行担保措置

  • 電気事業法に基づく指導・勧告の対象
  • 勧告実施時には事業者名を公表
  • 各事業者の個別事情に配慮した柔軟な対応が可能
  • 透明性・公平性・予見性の確保が継続検討課題

透明性・公平性の確保に向けた検討事項

行政裁量の適切な範囲の明確化 多様なビジネスモデルへの配慮
レピュテーション影響:大
将来的に検討

A案:容量拠出金の追加徴収

運用状況を見て導入を検討

  • 未達kWhに比例した追加徴収金を課す
  • 追加徴収額を支払えば既存ビジネスモデルの継続は可能
  • 追加徴収額の変更により措置の強度を調整可能
  • システム構築に一定期間を要するため、運用当初は見送り

導入に向けた課題

徴収対象・徴収額の考え方の確定 遵守を促す適切な水準の設定
財務的影響:直接

制度設計の重要ポイント

段階的な制度見直し

運用開始当初はB案を基本とし、確保状況を見極めながらA案の導入を含めた段階的な制度見直しを行います。

2030年度から適用開始

制度開始は2030年度供給計画からを想定。それまでの間、中長期取引の環境整備を継続的に検証します。

段階的な調整

制度初期は市場の実態を見極めながら措置の強度を調整。確保量や経過措置の要否も検討されます。

出典:資源エネルギー庁「電力システム改革の検証を踏まえた制度設計WG とりまとめ」(2026年3月)

運用開始は2030年2月提出の供給計画から。準備期間は実質3年強です。

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なぜ「今」動くべきなのか

運用開始は2030年2月提出の供給計画から。実質的な準備期間は3年強しかありません。
SaaS型ETRMならシステム導入自体は数ヶ月で可能ですが、調達戦略の見直し・社内体制の構築・相対契約の交渉には時間が必要です。

2026

今ここ

制度設計WGとりまとめ確定(3月)。秋頃に供給計画の様式改正案を確定。ETRM検討・選定を開始すべきタイミング

検討開始リミット
2027年度

新様式の供給計画提出開始

2028年度供給計画から新様式を適用。社内体制・調達戦略の整備、相対契約交渉を本格化すべき時期

2028年度

中長期取引市場 開始想定

小売事業者がkWhを安定的に調達するための新市場が稼働。義務達成の主要な調達チャネルとなる

新市場稼働
2030年2月

運用開始

2030年度供給計画の提出時より、量的供給力確保の状況について確認を開始。履行措置(B案)が稼働

運用開始
2030年度

最初のN-1判定対象

実需給年度2030年度については需要の70%(小規模事業者は50%)の確保状況が確認される

70%確保
2032年度

最初のN-3判定対象

実需給年度2032年度については需要の50%(小規模事業者は25%)の確保状況が確認される

50%確保

なぜ「今」なのか ── システム導入だけでは終わらない

SaaS型ETRMならシステム導入自体は最短2〜3ヶ月で可能です。しかし、義務達成に必要なのはシステムだけではありません。調達戦略の策定、社内業務フローの変革、発電事業者との相対契約交渉 ── これらの準備に半年〜1年はかかります。

先行者の優位性

発電事業者との相対契約は「早い者勝ち」の側面があります。制度開始直前の駆け込み需要では、好条件の契約が取りにくくなるリスクがあります。

運用開始(2030年2月提出の供給計画)まで、準備期間は3年強。まずは情報収集から始めませんか。

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ETRMが実現する
エネルギーリスク管理

ETRM(Energy Trading and Risk Management)は、エネルギー取引とリスク管理を統合的に支援するシステムです。
日々の価格変動リスクの管理から、量的供給力確保義務への対応まで、事業運営の基盤を強化します。

01

ポートフォリオ管理

相対契約、先物取引、スポット市場調達、自社電源を一元的に可視化。調達ポジションの全体像をリアルタイムで把握し、義務達成率を常時モニタリングできます。

  • 調達チャネル別ポジション管理
  • 契約期限・数量の自動アラート
  • 義務達成率ダッシュボード
02

リスク分析・シミュレーション

VaR(バリュー・アット・リスク)計算、感度分析、シナリオシミュレーションにより、市場変動の影響を事前に把握。先物ヘッジの最適戦略を定量的に評価できます。

  • VaR・CVaR計算
  • 価格シナリオシミュレーション
  • ヘッジ効果の定量評価
03

コンプライアンス対応

量的供給力確保義務の達成状況を自動トラッキング。N-3年度前・N-1年度前の義務水準に対する現在の確保率を常時可視化し、不足時にはアラートを発出します。

  • 義務水準達成率の自動計算
  • 不足量アラート・推奨アクション
  • 監査証跡の自動記録
04

レポーティング

経営層向けサマリー、監督機関への報告資料、供給計画のドラフトを自動生成。データの手動集計から解放され、意思決定のスピードが飛躍的に向上します。

  • 経営ダッシュボード
  • 供給計画ドラフト自動作成
  • カスタムレポート生成

ETRMによるリスク管理・義務対応フロー

1

需要予測

販売実績ベースで想定需要を算定

2

調達計画

ポートフォリオ最適化

3

リスク評価

VaR・シナリオ分析

4

約定・管理

契約一元管理

5

モニタリング

リスク・義務達成率の常時監視

最新のコラム・ニュース

量的供給力確保義務の制度動向や、小売電気事業者のリスク管理に役立つ情報を発信しています。

速報分析 Vol.7

終戦から3週間で崩壊 ── イスラマバード覚書と再封鎖、ホルムズ通航は「ほぼ全面停止」へ

6月17日、米イランは14項目の覚書に署名し戦争は終わったはずだった。しかし7月8日に戦闘が再開し、通航は危機前比96%減まで急減。「停戦の織り込み」の巻き戻しが始まっている。

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特集・継続取材中

【特集】ホルムズ海峡危機と電力市場への影響

Vol.7更新:6/17の覚書署名で終戦→7/8戦闘再開と、情勢は49日で一周した。通航ほぼ停止・燃料反発の中、夏季ピークを迎える電力調達リスクを継続的に追う。

特集を見る →
市場動向

6月は「2022年以来」の高値、7月は一転して平年並みへ ── 停戦が動かしたスポット市場の危うい安定

6月の東京エリア月平均は20.01円と前年比+54%。しかし覚書署名を境に急落し、7月上旬は15.47円と平年並みに。この安定は7月8日の戦闘再開をまだ織り込んでいない。

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コラム 連載第5回

ETRM導入で変わるリスク管理 ── 義務達成と収益安定化を両立する

ETRMがもたらす業務変革の全体像。ポートフォリオ管理からコンプライアンス対応まで、導入効果を具体的に解説します。

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コラム 連載第4回

Excel管理の限界 ── エネルギー取引リスク管理を「仕組み化」する

スプレッドシートでの調達管理はなぜ破綻するのか。属人化・計算ミス・リアルタイム性の欠如を構造的に解決する方法。

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コラム 連載第3回

義務達成のための調達ポートフォリオ設計 ── 実務担当者のための思考フレーム

相対契約・先物・自社電源・BG共同調達。事業規模に応じた最適な調達ミックスの設計方法を解説します。

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コラム 連載第2回

データで読む「市場退出」のパターン ── 生存事業者との決定的な違い

退出事業者の76%が3年後の調達を1割未満しか確保していなかった。データが示す退出パターンと生存事業者の共通点を分析します。

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コラム 連載第1回

なぜ今「調達リスク管理」が必要か ── 83社退出の教訓と新制度の本質

2022年に83社が退出した電力小売市場。量的供給力確保義務の新設に備え、小売電気事業者が今から準備すべきことを実務の視点から解説します。

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制度設計WG とりまとめ確定:量的供給力確保義務の最終決定事項

義務水準、履行措置(B案採用)、適用スケジュール(2030年2月運用開始)など、最終とりまとめの要点を解説します。

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市場データ

JEPX市場データ(月間集計値)

エリアプライス推移、価格分布ヒストグラム、スプレッド・分断率、48コマカーブ、ベースvsピーク。

データを見る →
市場データ

JEPX市場データ(週間集計値)

日次推移、週次ヒストグラム、48コマカーブ、エリアプライス・インバランスのヒートマップ。

データを見る →

まずは"今"の調達リスクをご相談ください

ETRM導入は数ヶ月〜の中期施策で、足元の中東情勢による価格高騰の即効薬にはなりません。一方で、契約見直し・調達ポートフォリオの再点検・ヘッジ手段の検討など、短期で打てる手はあります。現状のヒアリングのうえ、短期対応と2030年度の量的供給力確保義務への備えをセットでご提案します。

売り込みではなく、現状整理のための無料相談です。導入事例や費用感についてもあわせてご説明できます。